英語で味わう古今和歌集 仮名序-16 紀貫之 Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-16 Ki no Tsurayuki

英語で味わう古今和歌集 仮名序-16 紀貫之
Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-16 Ki no Tsurayuki

 それ、まくら(まろら)、ことば、春の匂ひすくなくして、空しき名のみ、秋の夜の長きをかこてば、かつは人の耳に恐り、かつは歌の心に恥ぢ思へど、たなびく雲の立ち居(イ)、鳴く鹿の起き臥(フ)しは、貫之らがこの世に同じく生れて、このことの時にあへるをなむ喜びぬる。

 Now, while we wonder if the collected poems of ours might be lacking in the fragrance of spring, and only its empty name would go down in history, not quite sure how they would sound like to people’s ears, we are all truly pleased, standing and sitting, awake or asleep, that we have the opportunity of compiling the collection, born in this life.

(現代語訳) 
 さて、私たちの(集めた)歌は、春の匂いが少ない(優れてはいない)かも知れず、空しい名のみが、秋の夜が長いように(世に)残ることを嘆いており、人の耳にどう聞えるかを心配しているのですが、立ち居、起き伏しにつけ(=日々)、貫之ら一同、この時代に生まれ、このこと(古今集の編纂)の時に会えたことを、真に喜んでいるのです。

By Kota Nakako

2024/11/13

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