以下は、グループ会社GCSのHPに掲載されたコラムです。
人間にしかできないこと
証券アナリストジャーナル2019年3月号に、「金融イノベーションと金融サイエンス」(ロバート・マートン、本多俊毅)という興味深い特別論文が掲載されている。
ロバート・マートンは、デリバティブ商品の価格決定理論でノーベル経済学賞を受賞した優れた実践的経済学者である。
昨今のように、超低金利で、株価パフォーマンスがさえない市場環境において、デリバティブ商品は欠かせない投資の選択肢となっている。このような市場環境で、特に、証券価格の変動、ボラティリティにリターンが生じうる、投資対象となる、ということは投資家にとっての恩恵だ。勿論、それは必ず儲けられるということと同義ではない。ハイリスク=ハイリターン型の商品ではある。
マートンはAIについてどう考えているのか。次の言葉がわたしのこころをつかんだ。
『・・・AIが全てを解決してくれるわけではない。・・・投資の世界においては、テクノロジーの進歩は非常に大きな要因にはなるが、それで全てを語れるわけではない。重要なのは「信用」である。』
信用するか、しないか。信用できるか、できないか。それを決めるのは人間である。AIがどんなに発達しようが、人間にしかできないことがある。
AIでできることは、AIに任せる。人間は人間にしかできないことをする。
それに気づき、そこを深め磨いた者、企業が次の時代をリードするだろう。
Kota Nakako
2019/4/10