2020年地価公示レビュー(4) 住宅地 板橋区仲宿2020 Appraisal Review: Nakajuku, Itabashi-ku, Tokyo

2020年地価公示レビュー(4) 住宅地 板橋区仲宿2020 Appraisal Review: Nakajuku, Itabashi-ku

本日は、板橋区仲宿の住宅地の地価公示をレビューしたいと思います。標準地番号は板橋-40。住居表示は、仲宿19-6、第一種住居地域にあり、都営三田線「板橋区役所前」駅から650メートル(徒歩9分)、南西幅員4mの区道に接し、地積182㎡(55坪)で、建ぺい率60%、指定容積率は300%です。ただし、敷地の前面道路の幅員が12メートル未満なので、指定容積率と前面道路の幅員4.0mに40をかけた数値のいずれか小さい方が基準容積率になります(建築基準法)。この場合は160㎡(=4.0 x 40)となります。都区部にはこのようなケースが多いので、参考になると思います。

地価公示は、前年比+5.8%の402,000円/㎡となりました。坪約133万円です。住宅地の全国が+0.8%、東京圏+1.4%、東京都+2.8%、東京23区+4.6%、板橋区住宅地+5.1%ですので、平均を上回る伸びを示しました。

市場の特性としては、「同一需給圏は、東武東上線、都営三田線沿線の戸建住宅を主としてアパート等も点在する住宅地域である。戸建住宅の需要は底堅く、価格は高止まり傾向にあり、地域の中心価格帯は、40~60万円/㎡(坪132~198万円)程度にある。主な需要者は板橋区内の居住者並びに近隣区市の居住者であり、通勤及び生活の利便性と居住環境の良否が取引に当たって重視される」(不動産鑑定士A))との指摘があります。

2番目の鑑定評価書(不動産鑑定士B)では、「同一需給圏は、板橋区内に所在する都営三田線及び東武東上線沿線等の住宅地域一体と判断した。需要者の中心は区内あるいは近隣区内の居住者が多く、地縁的選好性がやや強い地域である。取引の中心価格帯は更地で坪単価120~150万円、建売住宅で4,000~5,000万円(いずれも土地面積は20坪~程度)。昨今の地価は上昇している」とあります。通じて、「高止まり」「地縁的選好性がやや強い」「地価は上昇している」といった表現があることが注目されます。

取引事例比較法に基づく比準価格は410,000~415,000円/㎡(坪135~137万円)、収益還元法に基づく収益価格は290,000~303,000円/㎡(坪96~100万円)で、収益価格は比準価格の70~73%の水準です。「付近にはアパート等の賃貸住宅も多く見られるが、地域的に賃料水準が低く収益価格が比準価格に比して低位に試算された。中心的な需要者による取引は、主に自己使用目的の取引が多く、収益性よりも市場性が重視される意思決定がなされる。したがって、市場性を反映した比準価格を重視し、収益価格を参酌のうえ代表標準地との検討も踏まえて、鑑定評価額を上記のとおり決定した」(不動産鑑定士A)とあります。Bも同様な内容です。

都営三田線での都心へアクセスの良さ、生活利便性の高さから今後の見通しも良好と予想します。東武東上線大山駅及び周辺商店街へ徒歩18分程度で利用可能な点もプラス要因と思われます。

[参考: 収益価格の算定にあたっては、想定建物としてS(鉄骨)造3階建て、1戸当り40㎡程度、建築面積93.00㎡、延床面積260.00㎡(6戸)の共同住宅が想定されています。基準階2Fの月額実質賃料2,605円/㎡、月額支払賃料2,497円/㎡、月額支払賃料計570,000円、還元利回りは4.3%;建物等の初期投資額52.2百万円、床面積260.00㎡(<基準容積260.8㎡)、有効率88.3%、坪当り建築費66.4万円想定]

Kota Nakako
2020

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