2022年の公示地価レビュー 板橋区住宅地(板橋-38)
東武東上線ときわ台駅徒歩12分 東山町 (1中高)
板橋区の東武東上線ときわ台駅から900m(徒歩12分)の住宅地(板橋‐38)、東山町23-8(住居表示)についてみます。用途地域は、第一種中高層住居専用地域。現況は地積165㎡(49.9坪)、住宅(木造)2F。西6.9m区道に接道。指定建ぺい/容積率は60/200。公示地価は、472,000円/㎡(坪156.0万円)と前年比+1.29%。近隣地域の標準的使用、標準地の最有効使用はともに低層住宅地。
鑑定評価書1は、市場の特性について、「同一需給圏は板橋区南部及び隣接区内の東武東上線、東京メトロ有楽町線等の各駅から徒歩圏の住宅地域で、需要者は同一需給圏内の居住者が大半である。当該地域は中小規模の一般住宅が多く見られ、住環境も良好である。コロナ禍による市場の停滞感も緊急事態宣言解除後から緩和されつつあり、需給動向は安定的に推移している。土地の場合1平米あたり450,000円~500,000円(坪149~165万円)程度、新築戸建住宅で総額5,000万円前後が需要の中心である。」とし、コロナ禍からの停滞感が緩和し、地価が上昇傾向にあることを示しています。
価格形成要因の変動状況については、一般的要因について「区内の人口は微減、世帯数は微増となっている。コロナ禍による停滞感は薄まっており、取引件数はやや増加、取引価格はやや上昇傾向にある」としています。地域要因については、「中小規模の一般住宅等が建ち並ぶ住宅地域であり、特段の変動要因はないものの、地価はやや上昇傾向にある」としています。個別的要因については「方位の優位性はあるが、地域内において標準的な画地であり、個別的要因に変動はない。市場競争力は普通であるものと思料する。変動はない」としています。
東山町の特徴である良好な住環境が指摘されています。コロナ禍による市場停滞感が薄れ、地価はやや上昇傾向にあるとし、安定的な市場環境にあることを示しています。最有効使用は、低層住宅地。
新築戸建て住宅で総額5,000万円前後が需要の中心ということは、最低敷地面積60㎡(18.19坪)に近い物件(建売住宅)が多く取引されていると推定されます。対象不動産が165㎡(約50坪)であることを考えると規模が小さく、敷地の細分化が進みつつあるのかもしれません。東山町は、もともと敷地の規模が大きく、良好な住環境が魅力の住宅地です。その意味では、平均的な敷地規模が減少している可能性があります。
試算価格の調整・検証及び鑑定評価額の決定の理由について、「当該地域は区内南部に位置し、中小規模の一般住宅が多く建ち並ぶ住宅地域であり、主として自用目的での取引が中心である。アパート等の収益物件も見受けられるが、土地に対する投資採算性はやや低い。したがって、比準価格を標準として、収益価格を信頼性に応じて相応に関連付け、代表標準地との検討を踏まえ、鑑定評価額を上記の通り決定した」とあり、自用の戸建て住宅が需要の中心であると言えるでしょう。
鑑定評価書2は、市場の特性について、「同一需給圏の範囲は、板橋区南部に位置する東武東上線、都営三田線沿線各駅から徒歩圏内の比較的小規模な低層住宅が建ち並ぶ住宅地域である。需要者の中心は、板橋区及び隣接区のほか、一部埼玉県内に居住し、地域的選好性を有する一次取得者である。需給は比較的安定し、敷地を細分化した取引が多くなりつつある。土地取引の中心価格帯は坪単価150~180万円程度、新築戸建5,000万円~6,000万円程度である」とし、1よりも実勢について単価、総額ともやや高い観察をしています。敷地細分化についての指摘があります。
価格形成要因の変動状況については、一般的要因について「感染症の状況は不透明だが大規模金融緩和は継続し不動産取引価格はやや上昇傾向にある。区内の人口は微減、世帯数は微増」と指摘。
地域要因については、「地域要因に特段の変化は見られず、当分は現状のまま推移するものと予測する」とし、地域要因の将来予測については、「中小規模の一般戸建住宅等が建ち並ぶ住宅地域である。地域要因に特段の変化は見られず、当面は現状維持のまま推移すると予測する」と大きな変化は予想していません。
個別的要因については「個別的要因に変動はない。市場競争力は中位程度であると判断した」と標準的な競争力をもつ土地との指摘です。
試算価格の調整・検証及び鑑定評価額の決定の理由について、「比準価格は、市場の実勢を反映した実証的な規範性の高い価格である。収益価格はアパートとして賃貸する場合の収益性を反映している。当該地域では主として自用目的での取引が中心で居住快適性や利便性、資産価値等を重視した取引が多い。低層共同住宅等の収益物件も見受けられるが、土地に対する投資採算性はやや低い。したがって、比準価格を標準とし、収益価格を比較考量し、さらに代表標準地との検討を踏まえ、鑑定評価額を上記の通り決定した」としています。自用目的が中心ですが、低層共同住宅の収益物件もみられるというのは、投資採算性、利回りは低いものの、都心近郊住宅地としての利便性等から安定的な需要が見込まれるためと理解されます。
標準地番号: 板橋-38
出典: 国土交通省 土地総合情報システム
Comment by Kota Nakako