令和2(2020)年地価公示レビューと今後の見通し(3) 住宅地 板橋区東山町
本日は、板橋区の東山町住宅地(板橋-38)の地価公示についてレビューしたいと思います。
標準地は、東武東上線ときわ台駅の南東、駅南口から900メートル(徒歩12分)、第一種中高層住居専用地域にあり、地積165㎡(50坪)、西に幅員6.9メートルの区道に接した不動産です。中小規模の一般住宅棟が立ち並ぶ住宅地域で、環七、川越街道(国道254号線)にも近い位置にあります。建ぺい率60、容積率200です。最低敷地面積60㎡、最高22メートルの高さ規制があります。
地価公示は、前年比+6.0%の443,000円/㎡となりました。坪約146万円です。住宅地の全国が+0.8%、東京圏+1.4%、東京都+2.8%、東京23区+4.6%を上回る伸びです。23区の内訳をみると、区部都心部+6.4%、区部南西部+3.7%、区部北東部+5.0%、板橋区住宅地+5.1%ですので、都心部並みの伸びを示したことになります。区部都心部から、特に区部北東部に地価の上昇が波及している状況を示していると思われ、板橋区の住宅地にもその傾向がみられることになります。言うまでもなく、地価公示は1月1日時点の評価ですので、コロナ問題の前の状況であり、今後の動向を注視する必要があります。但し、商業地に比べ、住宅地は影響は受けにくいといえるでしょう。
地域要因の将来予測としては、戸建て住宅や共同住宅が建ち並ぶ既成住宅地であり、変化をもたらす新たな要因はなく、当面現状通りで推移する、とされています。地域要因の変動状況について、地価は上昇傾向にあるとの記述もあります。
市場の特性としては、同一需給圏は、板橋区南部及び隣接区内の東武東上線沿線の各駅から徒歩圏の住宅地域で、需要者は同圏内の居住者が大半、当該地域は中小規模の一般住宅が多く見られ、住居環境も良好であり、需給動向は堅調に推移している、土地は1㎡当たり420,000~480,000円程度(坪約139~159万円)、100㎡程度の規模の場合4000万円台半ば程度(坪約150万円)、新築戸建住宅で4500万円~5000万円程度、5000万円台後半~6000万円台が需要の中心、中心価格帯などの指摘があります。
「近隣地域は、最寄りの東武東上線ときわ台駅から徒歩12分とやや距離があるが、成熟した住宅地域である。周辺には賃貸マンションやアパート等も見られるが、収益性よりも居住の快適性等が重視される自己使用目的の取引が中心であり、市場での取引実態を反映した比準価格を重視して、収益価格を比較考量し、代表標準地との均衡を踏まえ、鑑定評価額443,000円を決定した」とあります。
なお、取引事例比較法による比準価格は454,000~458,000円/㎡(坪約150万円)、収益還元法による収益価格は304,000~335,000円/㎡となっています。収益価格は比準価格の約66%~74%の水準になっています。居住の快適性が重視される自己使用目的が中心の住宅地では通例といって良いでしょう。
対象不動産(住居表示:東山町23-8)は、東京メトロ副都心線・有楽町線の小竹向原駅からも徒歩18分、やや距離がありますが利用可能なのも魅力です。板橋区は2015年に最低敷地面積60㎡を当地域に導入しており、今後、極端な細分化には制限が加わり、良好な住宅環境が維持され、都心への利便性に優れていることから、中長期的な競争力が維持されるだろうと、わたしくは見ております。
[補足: 収益価格の算定にあたって、想定建物はS造(鉄骨)3階建て共同住宅(専有面積33㎡~43㎡程度のファミリータイプ)。基準階2F月額実質賃料2,504円/㎡、支払賃料2,400円/㎡];建物等の初期投資額53.2百万円、延床面積265.00㎡(<基準容積330㎡)、有効率90.0%、坪当り建築費66.4万円を想定]June 2020
Kota Nakako