2022 公示地価レビュー(住宅地: 豊島-12) – 雑司が谷駅歩13分 高田 (1住居)

2022年の公示地価レビュー 住宅地(豊島-12)
東京メトロ副都心線・雑司ヶ谷駅 徒歩13分 高田 (1住居)

豊島区の東京メトロ副都心線雑司ヶ谷駅から南東に1000m(徒歩13分)の住宅地(豊島‐12)、高田1-3-11(住居表示)についてみます。用途地域は、第一種住居地域。地積115㎡(34.8坪)、利用状況は住宅兼共同住宅RC(鉄筋)3F1B。南東3.8m私道に接道。指定建ぺい/容積率は60,300。公示地価は、545,000円/㎡(坪180.2万円)と前年比+2.8%。近隣地域の標準的使用、標準地の最有効使用は共に低層住宅地。

[鑑定評価書1]は、市場の特性について、「新宿区及び文京区との区境に位置し、同一需給圏は、豊島区を中心とするも隣接区を含む混在型の住宅地域と把握される。想定需要者層は、個人又は転売目的の不動産事業者等が中心であり、まとまった画地については分譲業者の参入も見られる。市場需給動向は、コロナ禍にあっても需要が根強い一方、供給が限定的であり、取引価格は堅調に推移している。需要の中心となる価格帯は、標準的画地の規模を前提とすれば、土地総額6~7千万円程度と把握した」としています。つまり、実勢の価格帯は、52~61万円/㎡(170~200万円/坪)程度と推定されます。

価格形成要因の変動状況については、一般的要因について「コロナ禍で人口・世帯数は減少、取引件数も減少傾向だが、取引価格はコロナ禍前の水準を回復し上昇傾向。新設住宅着工戸数は直近1年間で増加」と、人口・世帯数、取引件数も減少するなか、取引価格は回復・上昇傾向とあるのは、一見矛盾していますが、供給が少ないこと、先高をみこした需要があると推定されます。

地域要因については「変動は無いが、最寄駅への接近性に劣る地域であり、雑司が谷駅の熟成に伴い、地域内の相対的位置が変化しつつある」というのは興味深いコメントです。プラスともマイナスともとれますが、鑑定評価書2の「雑司が谷駅を最寄りとする既成住宅地域として成熟しており、地域要因に特段の変動はない。住宅需要を反映し地価はやや強含み傾向で推移している」という指摘とあわせて考えると、基本的には雑司ヶ谷駅が最寄りの駅として定着し、徒歩13分とやや遠いものの、相対的地位が上場しており、ゆえに価格が上昇傾向にある、と言えるかもしれません。

地域要因の将来予測については、「建替に伴う前面道路の拡幅が期待される他は、混在住宅地域として熟成しており、大差無く推移するものと予測する。地価水準はコロナ禍でも堅調であるが、今後については経済動向及び不動産施策の如何と判断する」としています。個別的要因には「変動はない」としています。

試算価格の調整・検証及び鑑定評価額の決定の理由については、「各試算価格の前提となるマーケット資料の信頼性は高く、その手順も適切と判断されるが、標準地は行政条件等の制約が強く、収益価格は低位に試算された。周辺にはアパート等も混在するが、戸建住宅を主体とした自用目的の取引が中心である。自用目的の市場参加者は類似物件の取引価格を重視して意思決定する傾向が強く、よって実際の取引価格に基づく比準価格を中心に、収益価格を比較考量し、代表標準地との検討を踏まえ、鑑定評価額を上記の通り決定した」としています。収益価格が比準価格より低位になのは、住宅地では通常です。

[鑑定評価書2]では、市場の特性について、「同一需給圏は豊島区及びその周辺区等で、駅徒歩圏の一般住宅を標準的使用とする住宅地域である。需要者の中心は豊島区及び周辺区内の居住者であり、一部転売目的の不動産業者も認められる。雑司が谷駅徒歩圏の既成住宅地域に存し、住宅需要は概ね堅調である。土地は標準的画地規模を前提とすると6,000万円~7,000万円程度、新築建売住宅はやや物件が少ないものの7,000万円~9,000万円程度が需要の中心である」としています。東京メトロ副都心線・雑司ヶ谷駅が最寄り駅として定着してきたのが、プラス要因と思われます。

価格形成要因の変動状況は、一般的要因については「豊島区内の住宅関連の不動産取引市場はコロナ禍における市場低迷から回復傾向にある。ただし引き続きコロナ禍での景気状況に留意する必要がある」としいます。

地域要因については、「雑司が谷駅を最寄りとする既成住宅地域として成熟しており、地域要因に特段の変動はない。住宅需要を反映し地価はやや強含み傾向で推移している」とあります。地域要因の将来予測については、「一般住宅、共同住宅、作業所等が混在する住宅地域として成熟しており、今後も概ね現状を維持するものと予測する。コロナ禍ではあるが、住宅需要は堅調で地価はやや強含みで推移している」としています。ここは、コロナ禍の影響があるにもかかわらず、利便性の高い都心部の土地の稀少性を感じさせるコメントです。

個別的要因については、「代替競争不動産との関係において、南東方位接面で日照等が良好である。個別的要因に変動はない」としています。

試算価格の調整・検証及び鑑定評価額の決定の理由については、「雑司が谷駅徒歩圏の既成住宅地域に存し、周辺には中低層共同住宅等も存するが、元本価値に見合う賃料を収受することは困難で収益価格はやや低位に試算された。当該地域は収益性より居住の快適性をやや重視する地域であり、需要の中心は自用目的の戸建住宅である。よって、規範性を有する取引事例を中心として試算した比準価格を標準とし、収益価格を関連付け、さらに代表標準地との検討を踏まえ、鑑定評価額を上記のとおり決定した」としています。都心・都心近郊の住宅地で、土地も含めた投資の利回りは低位になる、収益価格は比準価格よりも(かなり)低く算出されるのが通常です。アパート等の共同住宅は、既存土地の所有者による運用であるケースが多いと思われます。利便性の高い都心部の土地の稀少性をあらわすと共に、建物への追加投資についての投資利回りによって建築されていると推定されます。

(基礎情報)
標準地番号: 豊島-12
調査基準日: 令和4年1月1日
所在及び地番: 東京都豊島区高田1丁目16番12  地図で確認する
住居表示: 高田1−3−11
価格(円/m²): 545,000(円/m²)
交通施設、距離:  雑司が谷 1,000m
地積(m²): 115(m²)
形状(間口:奥行き): 台形 (1.0:3.0)
利用区分、構造:  建物などの敷地、RC(鉄筋 コンクリート造) 3F B1
利用現況: 住宅兼共同住宅
給排水等状況:  ガス ・ 水道 ・ 下水
周辺の土地の利用現況:  住宅、アパート、作業所等が混在する住宅地域
前面道路の状況: 南東 3.8m 私道
用途区分、高度地区、防火・準防火:  第一種住居地域、 準防火地域
建ぺい率(%)、容積率(%): 60(%) 300(%)
都市計画区域区分:  市街化区域

出典: 国土交通省 土地総合情報システム

Comment by Kota Nakako

 

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