ときわ台北口駅前商業地2020地価公示と今後の見通し Tokiwadai commercial property in front of the station 2020 valuation and outlook

本日は、東京都板橋区、東武東上線のときわ台駅、北口駅前の商業地の、2020年令和2年の公示地価について簡単にレビューします。その後、今後の見通しなど個人的な意見を述べたいと思います。

まず、公示地価ですが、前年比6.9%増の1㎡当たり109万円となりました。板橋区の商業地の平均とほぼ同等の上昇となりました。

全国の商業地の公示地価は3.1%の伸び、東京圏は5.2%、大阪圏6.9%、名古屋圏4.1%、地方4市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)は11.3%と高い伸びになりました。公示地価は、新型コロナ問題がでる前の1月1日時点の価格なので、金融緩和、インバウンド需要の増加などによる影響が、首都圏から地方主要都市に及んでいる状況を示しています。

23区では、台東区が14.9%と高い上昇を示し、北区 10.4%、港区10.1%、荒川区 10.1%上昇、豊島区9.9%と続いています。高い伸びが都心区から区部北東部など周辺の区に拡大している状況があります。

特に外国人観光客が増加する浅草地区を中心に 店舗・ホテル需要が旺盛なことが背景にあります。インバウンド、外国人観光客が増加を主因とする地価上昇は全国的にみられる特徴です。もっとも、コロナ問題で、これは大きな反動となってあらわれる恐れがあります。その意味では、ときわ台はその影響は直接には受けにくいといえるかもしれません。

ときわ台駅前商業地の対象となっている土地、いわゆる標準地は、常盤台2-6-5、駅前ロータリー沿いのりそな銀行の向かって右側の店舗事務所ビルではないかと思われます。土地は105㎡、31.8坪ほどです。ときわ台駅前商業地は建蔽率80、容積率500、35メートルの高さ規制があります。高さ35mは11階程度になるでしょう。

周辺の不動産取引をもとに算定した比準価格は、㎡当たり111万~114万円、収益力から算定した収益価格は98.9~101万円となっています。公示価格は、比準価格を標準にし、収益価格を関連づけて109万と決定されています。最有効使用は中層店舗兼事務所地。収益価格の算定に当たって、モデルとなっているのは、地上6階地下1階の店舗兼事務所ビルです。土地が105㎡で商業ビルとしては小規模といってよいでしょう。

より規模の大きい不動産開発で用いられる開発法は使われていません。これについては後でコメントしたいと思います。

不動産取引の関連性の高いエリア、専門用語でいうと同一需給圏は、東武東上線沿線の駅前商業地を中心に練馬区、豊島区にも及んでいるとあります。主たる需要者、つまり買い手は、チェーン店舗を展開する事業者、テナントビルとしての賃貸収入を目的とした法人や投資家、また自社ビルとして所有する法人があるとされています。典型的な中層店舗事務所ビルの需要者といってよいと思います。

以上が、地価公示の鑑定評価の主なポイントです。正確には国土交通省の標準地・基準地検索システムをご参照いただきたいと思います。

次に、現状と今後の見通しについて簡単にコメントしたいと思います。

ときわ台の強みは、なんといっても第一に、池袋から東武東上線で5駅目、約8分ほど、大手町駅まで35分程、環七沿いで都心へのアクセスに優れた利便性にあります。

第二に、都市デザインに優れていること。東京都下でも有数の「優美なアーバンデザイン」と専門家が述べる都市デザインによる住宅地です。(参考:開発にあたって、住宅地だけでなく、商業地を配していることは重要なポイントです。駅前のロータリーの美しさ、規模の大きさは私鉄沿線では有数といってよいでしょう。また、開発当初から生活しやすさ、利便性を重視していた、ということがあります。余談ですが、戦前に東武鉄道当時初代根津社長が、英国の田園都市をモデルに、当時、東京の都市計画に直接に関わっていた内務省の設計によって区画整理事業として開発したことによります。詳細は、拙著「常盤台住宅地物語」GCS出版、amazon kindle版 をご参照ください。)

第三に、「ときわ台」が、城北エリア、とくに東武東上線沿線エリアでブランド力を持っているということです。多くの周辺の法人の事業所、マンションが、住居表示に関わりなく名称に「ときわ台」という名を入れていることにも表れています。

第四に、人口が微増傾向にあることです。周辺エリアには、かつては城北工業地帯として光学系、印刷関係など、工場が立ち並んでいましたが、これらの跡地に高層マンションや医療機関、介護施設などの建築が進んできました。これは今後も続きます。

第五に、インバウンド需要や、一時的な流行による爆発的、急激な伸びは無い反面、生活の利便性の高さ、環境の良さなど生活基盤の強さからくる、安定的で、底堅い伸びが期待できるということです。

一方、課題については、第一に、東武東上線の立体化が遅れていることです。これについては、まず大山駅が立体化されることがすでに具体化されており、次に上板橋、ときわ台の立体化が検討されています。しかし、土地の収用が関係することから、具体化したとしても実現はかなり先になることは否めません。

第二に、堅実性という長所の反面、華やかさ、流行に乗った急速な伸びに欠けるということがあります。

第三に、これは商業地の評価にも関連することですが、商業地としては、やはりある程度規模の大きな不動産開発(500㎡超、150坪超)が街の発展には必要ではないか、という見方があります。ときわ台北口駅前には、そのような画地が3つ程あり、今後が注目されます。赤羽駅周辺では再開発で評価が大きく高まっていることがその例としてあげられます。

以上、簡単ですが、ときわ台駅前商業地について令和2年2020年地価公示をレビューし、今後の見通しなどをコメントさせていただきました。

[補足: 収益価格の算定にあたっての、想定建物は、RC6F1Bの中層店舗兼事務所ビル、1B~2Fはフロア貸店舗、3~6Fはフロア貸事務所。基準階1F(有効面積64.52㎡)の月額実質賃料4,769~4,872円/㎡、月額支払賃料4,600~4,700円/㎡、月額支払賃料2F3,500円/㎡、3~6F3,300円/㎡(有効面積68.58㎡)、B1同3,400円/㎡(有効面積64.52㎡)、還元利回り4.2%;建物等の初期投資額は160百万円、床面積513.71㎡(<基準容積525㎡)、有効面積471.94㎡(有効率91.9%)、坪当り建築費103万円想定]

June 2020 ©Kota Nakako

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